2023/08/17 14:23

皆様、はじめまして。

耳マークジュエリー専門店COCHLEAです。

弊店は、別のBASEショップである handcraft jewelry studio Atropisomer と同じ中の人による、姉妹ブランドとして、誕生しました。
どうぞよろしくお願いいたします。

耳マーク(Ear symbol)とは、聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークです。
弊店は、「耳マーク」の著作権をお持ちの、一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴)さまのご協力のもと、「耳マーク」の使用の許諾を正式に受けて、耳マークジュエリーを製造販売いたしております。

ところで、弊店の商品は、なぜ耳マークで、なぜジュエリーなのでしょうか。
その最初のきっかけは、中の人の前職時代に遡ります。

中の人は、大学教員から脱サラ転職した、ジュエリー職人です。

大学教員の頃、担当した学生さんの中に、片耳難聴者がいました。
他の新入生も交えた入学直後の顔合わせで、その学生さんは、自分が片耳難聴者であること、難聴側から声をかけられても気づかないこと、横や後ろから声をかける場合は清聴側からお願いしたいこと、を、自己紹介してくれました。
その時、中の人が思ったことは2つ;
 「片耳難聴は見た目ではわからないので、あらかじめ教えてくれると対応方法がわかってとてもありがたい」
 「緊急時などの咄嗟の場合に左右を間違えたらどうしよう?」
中の人の心配性が過ぎるのは認めますが、これには根拠があって、子供の頃に左右失認傾向があったためです。
大人になってからはほぼ大丈夫になりましたが、いまだに、慌てると右と左を言い間違えそうな、ぞわっとした感覚に陥ります。
そこで感じたのが、「何か目印があると便利だな」でした。

聞こえの不自由は、相手の不自由をあらかじめわかっていれば、話しかけ方や筆談など、健聴者側で対応できることが多いです。
ですが、聞こえの不自由は外見ではわかりにくいため、初対面などあらかじめ事情のわからない相手には対応が難しいのです。

その学生さんが無事卒業してしばらくした頃。
ネットサーフィン中に、海外のメディカルタトゥを紹介したサイトを目にしました。
メディカルタトゥのいいところは、本人の体から絶対に離れない、ところです。
本人の意識がないなどの緊急時に、本人の体から離れてしまう可能性のある、所持品と比べて、利便性が高いのです。
その中に、片耳難聴者が、難聴側の耳の下の首筋に、ミュートマークを入れた、事例が紹介されてました。
この方法ですと、横から声をかけようとするときに、気付けますよね。
ただ問題は、たとえ医療目的であっても、日本ではタトゥは社会的に好まれにくいことです。
ですので、日本で同様のことをするのであれば、緊急時に本人の体から離れてしまう可能性はありますが、ミュートマークの装身具が無難かな、と。
そんな考えが、頭の片隅に生じました。

その後、いろいろあってジュエリー職人に転職し、技能検定も3級と2級に合格して、そろそろ落ち着いてきたかな、と思っていた頃に、前述のミュートマークを思い出したのです。
そこで最初は、ミュートマークを使った、聞こえが不自由であることを示すジュエリーを考えていました。
ジュエリーを考えたのは、自分がジュエリー職人だからというのもありますが、他の人に示すためなのであれば、機能一辺倒だけではなく、装身性で少しでも気分が上がるほうがいいのではないかと。
そんな中で、耳マークの存在を知りました。
自分の考えていることに耳マークが使えたらピッタリだなと。
問題は、耳マークには著作権があり、著作権保有者である全難聴さまは耳マークの商用利用を原則認めない、とのことでした。
ほぼ諦めていたところに、弁護士さんに手続きをお願いして、ありがたいことに全難聴さまからの許諾をいただくことができました。

最初のきっかけは、20年近く前の、中の人の心配性でした。
そこから、様々なことが少しずつ繋がっていきました。
そうしてたどり着いた、耳マークジュエリー専門店です。

COCHLEAの目的は、障がいの自己表示に、装身性を持たせた前向きで新しい選択肢をご提供することです。
世の中には、ご自分の障がいについて、できるだけ隠したい方、隠さずおおっぴらにしたい方、それぞれいらっしゃいます。
どちらが良い悪いでも、どちらかに合わせる必要があるのでも、なく、それぞれ尊重される必要があります。
その上で、自己表示をお望みの方には、自己表示方法の選択肢があったほうがいい。
聞こえが不自由な方の自己表示に、新しい選択肢のお手伝いが出来ましたら、幸いです。